マイクロチップ装着と避妊・去勢手術を受ける前の準備について

マイクロチップ装着と避妊・去勢手術を受ける前に準備すること
現在、多くの動物病院では、避妊・去勢手術の麻酔がかかっている状態のときに、同時にマイクロチップを装着することを推奨しています。
2つの処置を1回の手術にまとめることで、ペットのストレスや複数回麻酔をかけるリスクを軽減でき、別々に受けるよりも時間的・費用的な負担を抑えられるのが一般的です。
今回は、愛するペットが安全かつスムーズに手術を受けられるよう、適正年齢や術前の健康診断、絶食・絶水、術後の傷口ケアにいたるまで、手術前に飼い主様が準備すべきことについてAnyVetが詳しく解説します。
なぜマイクロチップ装着と避妊・去勢手術を同時に行うことが推奨されるのか?
獣医師が同時に行うことを勧める主な理由は、避妊・去勢手術の麻酔がかかっている間であれば、首の後ろや肩甲骨の間の皮膚の下に米粒大のチップを注入するだけのマイクロチップ装着において、追加の痛みやリスクがほとんど生じないためです。意識がある状態での装着は、ペットが驚いて暴れてしまうリスクがあります。
また、受診回数が1回で済むため、ペットのストレスが軽減され、別々の日に行うよりも全体の費用が抑えられる傾向にあります。そのため、多くの病院や地域の巡回避妊・去勢キャンペーンなどでも、ワクチン接種、避妊・去勢、マイクロチップがワンパッケージで提供されています。
マイクロチップとは?
ペット用のマイクロチップとは、安全で生体適合性に優れたガラスカプセルに密閉された、米粒ほどの極小の電子器具です。それぞれのチップには、その動物専用の固有の識別番号が記録されています。ペットにとって、マイクロチップは「マイナンバー」のような役割を果たします。チップごとに固有の番号が割り当てられているため、マイクロチップリーダー(読取器)でスキャンすることで、データベースに登録された飼い主様の連絡先情報を確認することができます。
マイクロチップの装着方法
獣医師が専用のインジェクター(注入器)を使用して、首の後ろまたは肩甲骨の間の皮下にチップを注入します。針は通常の注射針より少し太めです。
マイクロチップの仕組み
マイクロチップには電池が入っておらず、GPSによる位置追跡機能はありません。ISO規格のリーダーから発信される電波を検知したときのみ作動し、リーダーに識別番号を送信して画面に表示させ、それをデータベースで照会する仕組みになっています。
これにより、動物病院やシェルターなどでペットの身元を確認し、迷子になった際に飼い主様へ連絡を取ることが可能になります。
マイクロチップ装着後で最も重要なステップは、飼い主様がチップの番号とご自身の連絡先情報を登録し、常に最新の情報に更新しておくことです。チップが未登録であったり、連絡先が間違っていたりすると、万が一迷子になった際に飼い主様のもとへ戻すことができなくなってしまいます。
避妊・去勢手術とは?ペットへのメリットは?
メスの避妊手術は卵巣と子宮を、オスの去勢手術は精巣を外科的に摘出する手術です。望まない妊娠を防ぐだけでなく、メスでは乳腺腫瘍や子宮蓄膿症、オスでは前立腺肥大や精巣腫瘍などのリスクを低減できる長期的な健康上のメリットがあります。また、パートナーを求めて徘徊する、尿スプレー(マーキング)、攻撃性といったホルモン依存性の行動を抑える効果もあります。そのため、獣医師はペットが若いうちからの予防医療として避妊・去勢手術を推奨しています。
適切な年齢と事前の準備
手術を受ける時期として、一般的には混合ワクチンの接種が完了し、生後6ヶ月以降であることが推奨されます。体が十分に発達し免疫がついていることで、手術中および術後のリスクを下げられます。手術の前には、事前検査として一般身体検査と、麻酔薬を代謝・排泄する肝臓や腎臓の機能を調べるための基本的な血液検査を行います。猫の場合は、外見上症状がなくても心疾患を抱えているケースがあるため、心エコー検査を推奨する病院もあります。
避妊・去勢手術前の備え
手術前夜から、目安として手術の6〜12時間前からは食事を、2〜3時間前からは水分を控えるように指示されるのが一般的ですが、具体的な指示は病院によって異なります。絶食・絶水が必要な理由は、麻酔がかかると一時的に飲み込みや咳の反射が消失するためです。胃に食べ物が残っていると、逆流して肺に入り、命に関わる「誤嚥性肺炎」を引き起こす危険性があります。
当日は、これまでのワクチン接種記録、移動用のケージや首輪・リードを持参し、持病や薬のアレルギーがあれば必ず獣医師に伝えてください。また、麻酔からの覚醒状態を観察するために夕方以降の退院となることが多いため、当日は1日スケジュールを空けておくことをお勧めします。
注意:避妊・去勢手術と同時にマイクロチップを装着することができます。獣医師は年齢、全身状態、体重、麻酔への適性をふまえ、その子が安全に手術を受けられるかを事前に判断します。子犬や子猫の場合、一般的に生後35〜60日頃からマイクロチップの装着が可能ですが、健康状態や体格によって適期は異なるため、必ず事前に獣医師に相談してください。
手術当日の流れ
当日はまず獣医師が健康状態を再確認し、問題がなければ鎮痛剤の投与や静脈ルートの確保を行います。全身麻酔を導入し、気道を確保するための気管チューブを挿管して、手術中は5〜10分ごとにバイタルサインを厳密にモニタリングします。避妊・去勢手術が完了した直後、まだ麻酔が効いている状態のままマイクロチップを装着するため、ペットが痛みやストレスを感じることはありません。
術後は、温度管理された回復室へ移動し、スタッフの監視のもとで状態が安定するまで2〜4時間ほど静脈点滴を続けながら麻酔から覚まします。
術後(避妊・去勢&マイクロチップ)の自宅ケア
帰宅後24時間は、麻酔の影響でふらつきや眠気、軽い嘔吐が見られることがあります。他のペットや小さなお子様の手の届かない静かで落ち着いたスペースを用意してあげてください。傷口を舐めたり噛んだりして炎症を起こしたり、糸が解けたりするのを防ぐため、エリザベスカラー(または術後服)は常に着用させておきます。術後7〜10日ほどで傷口が完全に塞がるまでは、走る、跳ぶ、段差を上り下りするなどの激しい運動は控え、毎日傷口の赤み、腫れ、浸出液、異臭がないか観察してください。抗生物質や消炎鎮痛剤が処方されている場合は、元気そうに見えても指示通り最後まで飲ませきることが大切です。
猫の場合は、回復期の傷口への刺激を減らすため、固まるタイプの猫砂ではなく紙製や大粒のシステムトイレ用の砂を使用し、こまめに清掃してください。犬の場合は、自由運動は避けてリードを短く持った軽い散歩程度にとどめます。通常、術後3日前後に傷口のチェック、7〜10日前後に抜糸のための通院が必要になります。そして忘れてはならないのが、マイクロチップの番号と飼い主様の連絡先情報をオンラインで本登録することです。万が一の迷子に備え、速やかに登録を完了させましょう。
すぐに獣医師の診察が必要な危険サイン
避妊・去勢手術やマイクロチップ装着は非常に一般的で安全性の高い処置ですが、万が一以下のような症状が見られた場合は、すぐに動物病院を受診してください。
ぐったりした状態が24時間以上経っても改善しない
1日以上、食事や水を一切口にしない
呼吸が苦しそう、または異常に早い
手術部位の赤みや腫れがひどくなっている
傷口から出血や膿が出ている、または傷口が開いてしまっている
発熱、または下痢や嘔吐が続く
これらの症状は、術後合併症や感染症の疑いがあり、緊急の治療が必要です。
同時実施に関するよくある質問 (FAQ)
Q: 避妊・去勢手術と同時にマイクロチップを入れると、手術だけのときより痛みますか?
A: いいえ、麻酔がかかっている間に装着するため、ペットが追加の痛みや不快感を感じることはありません。
Q: マイクロチップを装着した後にすべきことは何ですか?
A: マイクロチップの番号に飼い主様の連絡先を紐付ける「登録手続き」を必ず行ってください。また、引っ越しや電話番号の変更があった際は、情報を常に最新に更新しておく必要があります。
Q: 同時に行うと、別々に行うよりも費用が高くなりますか?
A: 通常は、再診料や麻酔代が1回分で済むため、別々に2回行うよりも総額を抑えられます。費用は病院によって異なりますので、事前にご確認ください。
まとめ
避妊・去勢手術とマイクロチップの同時装着は、麻酔や通院の回数を減らせるため、ペットにとっても飼い主様にとっても負担が少なく、合理的で安全な選択肢です。しかし、事前の丁寧な健康診断や適切な絶食・絶水、そして術後の傷口のケアや状態観察を怠らないことが、愛犬・愛猫の安全を守るために極めて重要です。正しい知識を持って準備を進め、大切なペットの健康と安全を守りましょう。
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本記事は一般的な情報提供のみを目的としており、獣医師による診断に代わるものではありません。ペットに異常な症状が見られる場合は、速やかに最寄りの動物病院で獣医師の診察を受けてください。





